り月賦の支払をしてあったミシンを受取の交渉のために、川西へ出向いていった小野田が、失望して――多少|怒《いかり》の色を帯びて帰って来た頃には、彼女も一二枚の直しものを受けて来て、彼を待受けていた。
「どうです、同情がありますよ。すぐ仕事が出ましたよ。だから、ここでうんと働いて下さいよ」
 人に対する反抗と敵愾心《てきがいしん》のために絶えず弾力づけられていなければ居《い》られないような彼女は、小野田の顔を見ると、いきなり勝矜《かちほこ》ったように言った。
 部屋にはもう電燈がついて、その晩の食物《たべもの》を拵《こしら》えるために、お島は狭い台所にがしゃがしゃ働いていた。印判屋の婆さんとも、狎々《なれなれ》しい口を利くような間《なか》になっていた。
「それでミシンはどうしたんです」
「それどころか、川西はお前のことを大変悪く言っていたよ。そして己にお前と別れろと言うんだ」
「ふむ、悪い奴だね」お島は首を傾《かし》げた。「畜生《ちきしょう》、私を怨《うら》んでいるんだ。だがミシンがなくちゃ為様《しよう》がないね」
 飯をすますと直ぐ、お島が通りの方にあるミシンの会社で一台註文して来た機械
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