れていた。新しい仕事の興味が、彼の小さい心臓をわくわくさせていた。
「私《あっし》ゃ子供の時分から、こんな事が好きだったんですから、この外にまだ幾箇《いくつ》も考えてるんですが、その中には一つ二つ成功するのが急度《きっと》ありますよ」
「じゃ木村さんは発明家になろうというんだわね。発明家ってどんな豪《えら》い人かと思っていたら、木村さんのような人でもやれるような事なら、有難《ありがた》くもないね」
「笑談言っちゃ可《い》けませんよ」
「まあ発明もいいけれど、仕事の方もやって下さいね、どしどし仕事を出しますからね」

     七十八

 お島たちが、寄《より》つく処もなくなって、一人は職人として、一人は註文取として、夫婦で築地の方の或洋服店へ住込むことになったのは、二人が半歳ばかり滞っていた小野田の故郷に近いN――と云う可也《かなり》繁華な都会から帰ってからであった。
 一月から三月頃へかけて、店が全く支え切れなくなったところで、最初同じ商売に取《とり》ついている知人を頼って、上海《シャンハイ》へ渡って行くつもりで、二人は小野田の故郷の方へ出向いて行ったのであったが、路用や何かの都合で
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