て、夢中になっている彼の傍へ来て、お島は可笑《おかし》そうに訊《たず》ねた。
「こう云う悪戯《いたずら》をしているんです」
 彼は細《こまか》く切ったその紙片を、賽《さい》の目《め》なりに筋をひいて紙のうえに駢《なら》べていながら、振顧《ふりむ》きもしないで応えた。
「何だねその切符のようなものは……」
「これですか」木村はやっぱりその方に気を褫《と》られていた。
「これは軍艦ですよ」
「軍艦をどうするの」
「これでもって海軍将棋を拵《こさ》えようというんです」
「海軍将棋だって? へえ。そしてそれを何《なん》にするの」
「高尚な翫具を拵《こさ》えて、一儲けしようってんですがね……この小《ちいさ》いのが水雷艇《すいらいてい》です」
「へえ、妙なことを考えたんだね。戦争あて込みなんだね」
「まあそうですね。これが当ると、お上さんにもうんと資本《もと》を貸しますよ。どうせ私《あっし》は金の要《い》らない男ですからね」
「はは」と、お島は笑いだした。
「可《よ》かったね」
「こればかりじゃないんです」職人はこの頃夜もろくろく眠らずに凝り考えた、色々の考案が頭脳《あたま》のなかに渦のように描か
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