ます」
帰りがけにお島は、自分のそうした身のうえまで話した。
七十七
そんなような仕事が、少しばかり続くあいだ、例の金で身装《みなり》のできたお島は、暮のせわしいなかを、昼間は顧客《とくい》まわりをして、夜になると能《よ》く小野田と一緒に浮々した気分で、年の市などに景気づいた町を出歩いたり、友達のようになった顧客先の細君連と、芝居へ入ったり浅草辺をぶらついたりして調子づいていたが、それもまたぱったり火の消えたように閑《ひま》になって、肆《ほしいま》まに浪費した金の行方《ゆくえ》も目にみえずに、物足りないような寂しい日が毎日々々続いた。
定《きま》りだけの仕事をすると、職人は夫婦の外を出歩いているあいだ、この頃ふとした事から思いついた翫具《おもちゃ》の工夫に頭脳《あたま》を浸して、飯を食うのも忘れているような事が多かった。
仕事の断え間になると、彼は昼間でも一心になってそれに耽っていた。時とすると夜《よる》夫婦が寝しずまってからも、彼はこつこつ何かやっていた。
「この人は何をしているの」
隅《すみ》の方へ入って、ボール紙を切刻んだり、穴を明けたり、絵具をさしたりし
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