さんに御吹聴して頂きたいのでございます。どういたしましても、親方のようなお顔の売れた方の御|贔屓《ひいき》にあずかりませんと、私共《わたくしども》の商売は成立って行きませんのでございます」
男達はみんなお島の弁《しゃべ》る顔を見て、面白そうに笑っていた。
「お上さんの家では、お上さんが大層な働きもので、お亭主はぶらぶら遊んでいるというじゃないか」男たちはお島に話しかけた。
「衆《みな》さんがそう言って下さいます」お島は赤い顔をして、サンプルを仕舞っていた。
「たまに宅へお見えになるお客がございましても、私《わたくし》がいないと御註文がないと云う始末でございますから。あれじゃお前が一人で切廻す訳だと、お客さまが仰《おっし》ゃって下さいます」
お島はそう言って、この商売をはじめた自分の行立《ゆきたて》を話して、衆《みんな》を面白がらせながら、二時間も話しこんでいた。
「あの辺でおきき下さいませば、もう誰方《どなた》でも御存じでございます。滝庄《たきしょう》という親分が、以前私の父の兄で、顔を売っていたものですから、ああ云う社会の方《かた》が、あの辺ではちょいちょい私のお得意さまでござい
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