を利いているうちに、それがつい二三日前に、ふっと引込まれて行くような射倖心《しゃこうしん》が動いて、つい買って見る気になった或|賭《かけ》ものの中《あた》った報知《しらせ》であることが解った。
「お上さんは気象が面白いから、きっと中《あた》りますぜ」
暮をどうして越そうかと、気をいらいらさせているお島に、そんな事に明い職人が説勧《ときすす》めてくれた。秘密にそれの周旋をしている家の、近所にあることまで、彼は知っていた。
「厭《いや》だよ、私そんなものなんか買うのは……」お島はそう言って最初それを拒んだが、やっぱり誘惑されずにはいなかった。
「そんな事をいわずに、物は試しだから一口買ってごらんなさい、しかし度々《たびたび》は可《い》けません、中《あた》ったら一遍こきりでおよしなさい」職人は勧めた。
「何といって買うのさ」
「何だって介意《かま》いません。あんたが何処かで見たものとか聞いた事とか……見た夢でもあれば尚面白い」
それでお島は、昨夜《ゆうべ》見た竜の夢で、それを買って見ることにしたのであった。
意《おも》いもかけない二百円ばかりの纏《まと》まった金を、それでその爺さんが持
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