の顔で漸《やっ》と工面ができたところで、二人の渡《わた》り職人《しょくにん》と小僧とを傭い入れると、直に小野田が被服廠《ひふくしょう》の下請からもらって来た仕事に働きはじめた。
「大晦日《おおみそか》にはどんな事があってもお返しするんですがね。仕事は山ほどあって、面白いほど儲《もう》かるんですから」
 お島はそう言ってそのミシンや裁板《たちいた》を買入れるために、小野田の差金で伯母の関係から知合いになった或る衣裳持《いしょうもち》の女から、品物で借りて漸《やっ》と調《ととの》えることのできた際《きわ》どい金を、彼女は途中で目についた柱時計や、掛額《かけがく》などがほしくなると、ふと手を着けたりした。
「みんな店のためです。商売の資本《もと》になるんです」
 お島は小野田に文句を言われると、悧巧《りこう》ぶって応《こた》えた。
 まだ自分の店に坐った経験のない小野田の目にも、そうして出来あがった店のさまが物珍しく眺められた。
「うんと働いておくれ。今にお金ができると、お前さんたちだって、私が放抛《うっちゃ》っておきやしないよ」
 お島はそう言って、のろのろしている職人に声をかけたが、夜お
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