さめると、せっせと穴かがりをやっている手の働きを眺めながら、そう言ってお島の働きぶりに舌を捲《ま》いていた。
「どうです、私を情婦《いろ》にもってみちゃ」お島は笑いながら言った。
「結構ですな」
 小野田はそう言いながら、品物を受取って、自転車で帰っていった。
 ホックづけや穴かがりが、お島には慣れてくると段々|間弛《まだる》っこくて為方がなくなって来た。
 年の暮には、お島はそれらの仕事を請負っている小野田の傭《やと》われ先の工場で、ミシン台に坐ることを覚えていた。むずかしい将校服などにも、綺麗にミシンをかけることが出来てきた。
「訳あないや、こんなもの、男は意気地がないね」
 お島はのろのろしている、仲間を笑った。
 車につんで、溜池《ためいけ》の方にある被服廠《ひふくしょう》の下請《したうけ》をしている役所へ搬《はこ》びこまれて行く、それらの納めものが、気むずかしい役員|等《ら》のために非《けち》をつけられて、素直に納まらないようなことがざら[#「ざら」に傍点]にあった。
「こんなものが納まらなくちゃ為方がないじゃありませんか」
 男達に代って、それらの納めものを持って行くことに
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