一緒におゆうを座敷へ連込んで来たお島の目には、髪を振乱したまま、そこに泣沈んでいるおゆうが、可憐《いじら》しくも妬《ねた》ましくも思えた。
「みんな鶴さんへの心中立だ」お島は心に呟《つぶや》きながら、低声《こごえ》でおゆうを宥《なだ》めさすっている房吉と、それを耳にもかけず泣沈んでいるおゆうの美しい姿とを見比べた。
四十六
情婦《おんな》の流れて行っている、或山国の町の一つで、暫《しばら》く漂浪の生活を続けている兄の壮太郎《そうたろう》が、其処《そこ》で商売に着手していた品物の仕入かたがた、仕事の手助《てだすけ》にお島をつれに来たのはその夏の末であった。
「阿母さんは、一体いつまで私を彼処《あすこ》で働かしておくつもりだろう」
植源の忙しい働き仕事や、絶え間のないそこの家《うち》のなかの紛紜《いざこざ》に飽はてて来たお島は、息をぬきに家へやって来ると父親に零《こぼ》した。
長いあいだ家へ寄つきもしない壮太郎の代りに、家に居坐らせるため、植源を出て来て、父の手助に働かせられていたお島は、兄に説《とき》つけられて、その時ふいと旅に出る気になったのであった。
「誰が来たっ
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