、頭から脅《おどか》しつけられて、一層|突《つき》つめた気分で家を出た。鶴さんに着物を融通したり何かしたと云うことが、植源へ片着かない前からの浮気っぽいおゆうを知っている父親には、赦《ゆる》すことのできぬ悪事としか思えなかった。
 おゆうが帰って来たとき、お島は自分の寝床へ帰って、表《おもて》の様子に気を配りながら、まんじりともせず疲れた体を横《よこた》えていた。
 帰って来たおゆうが、一つは姑《しゅうとめ》や父親への面当《つらあて》に、一つは房吉に拗《す》ねるために、いきなり剃刀《かみそり》で髪を切って、庭の井戸へ身を投げようとしたのは、その晩の夜中過であった。おゆうは、うとうと床《とこ》のなかに坐っている房吉には声もかけず、いきなり鏡台の前に立って、隠居の手から取離されたまま、そこに置かれた剃刀を見つけると、いきなり振釈《ふりほど》いた髪を、一握ほど根元から切ってしまった。
「可悔《くやし》い可悔い」跣足で飛出して来たお島に遮《ささ》えられながら、おゆうは暴《あば》れ悶※[#「※」は「足+宛」、第3水準1−92−36、86−14]《もが》いて叫んだ。
 漸《やっ》とのことで、房吉と
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