の方を捜してから、これも矢張《やっぱり》そこいらを捜しあぐねて、蚊帳の外に茫然《ぼんやり》坐っている房吉の傍へ帰って来て言った。
 房吉は蒼白《あおざ》めた顔をして、涙含《なみだぐ》んでいた。
「大丈夫とは思うけれど、偶然《ひょっ》とするとおゆうは帰って来ないかも知れないね。不断から善く死ぬ死ぬと言っていたから」
「そうですか」お島は仰山らしく顫《ふる》え声で言った。
「それじゃ私少し捜して来ましょう」
 お島が近所の知った家を二三軒|訊《き》いて歩いたり、姉の家へ行ってみたり、途中で鶴さんや大秀へ電話をかけたりしてから、漸《ようよ》う帰って来たのは、もう大分夜が更《ふ》けてからであった。
「安心していらっしゃい」お島は房吉の部屋へ入ると、せいせい息をはずませながら言った。「おゆうさんは大丈夫大秀さんにいるんですよ」
 お島が、大秀へ電話をかけたとき、出て来て応答《うけこたえ》をしたのは、おゆうには継母にあたる大秀の若い内儀《かみ》さんであった。
 おゆうが俥《くるま》で飛込んでいった時、生家《さと》ではもう臥床《ねどこ》に入っていたが、おゆうはいきなり昔し堅気の頑固《がんこ》な父親に
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