いいでしょう」お島は外方《そっぽう》を向きながら鼻で笑った。
「お前がそんな二本棒だから、おゆうが好きな真似《まね》をするんだ。お前が承知しても、この私が承知できない。さあ今夜という今夜は、立派におゆうの処分をしてみせろ。それが出来ないような意気地なしなら、首でも縊《くく》って一思《ひとおも》いに死んでしまえ」
 それよりも、部屋で泣伏しているおゆうの可憐《いじら》しい姿に、心の惹《ひ》かるる房吉は、やがてその傍《そば》へ寄って、優しい辞《ことば》をかけてやりたかった。妊娠《みもち》だと云うことが、一層男の愛憐《あいれん》を唆《そそ》った。
 お島にささえられないほどの力を出して、隠居が剃刀《かみそり》を揮《ふり》まわして、二人のなかへ割って入ったとき、おゆうは寝衣《ねまき》のまま、跣足《はだし》で縁から外へ飛出していった。

     四十五

 二時過まで、植源の人達は騒いでいた。
 お鈴と二人で漸《やっ》と宥《なだ》めて、房吉から引離して、蚊帳《かや》のなかへ納められた隠居が鎮《しずま》ってからも、お島はじっとしてもいられなかった。
「どうしましょうね。大丈夫でしょうか」お島は庭
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