《おかし》な人だね。解っていたら可《い》いじゃないの」
「そんな事をしても可いんですか」
「いいも悪いもないじゃないか。感違いをしちゃ困りますよ」
 二三度口留をしてから、姉の話すところによると、金の工面に行詰った鶴さんが、隠居や房吉に内密《ないしょ》で、おゆうから少《すこし》ばかり融通をしてもらうために、私《そっ》と姉の家へやって来たのだと云うのであった。鶴さんが、そんなに困っているとは、お島には信ぜられないくらいであったが、姉の真顔で、それは事実であるらしく思えた。
「ふむ」お島は首を傾《かし》げて、「じゃもう、あの店も駄目だね」
「そうなんでしょう。事によったら、田舎へ行《い》くて言ってるわ」
「芸者を引張込むようじゃ、長続きはしないね。散々《さんざ》好きなことをして、店を仕舞うがいいや」
 お島は自暴《やけ》に言いすてて、仕事の方へ帰って来たが、目が涙に曇っていた。せかせか出て行った今のおゆうの姿や、おゆうを待受けている鶴さんの、この頃の生活に荒《すさ》みきった神経質な顔などが、目について来た。
 暫く経って、帰って来たおゆうの顔には、鶴さんのためなら、何でも為かねないような浮
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