いた大胆さと不安が見えていた。
おゆうの部屋を出て行く姉の手には、小袖《こそで》を四五枚入れたほどの、ぼっとりした包みが提げられた。
四十四
堅い口留をして、ふとそれ等の事をお鈴に洩《もら》したお島は、それを又お鈴から聞いて、宛然《さながら》姦通《かんつう》の手証《てしょう》でも押えたように騒ぎたてる、隠居の病的な苛責《かしゃく》からおゆうを庇護《かば》うことに骨がおれた。
宵の口に、お島にすかし宥《なだ》められて、一度眠りについた隠居は、衆《みんな》がこれから寝床につこうとしている時分に、目がさめて来ると、広々した蚊帳《かや》のなかに起き坐って、さも退屈な夜の長さに倦《う》み果てたように、四下《あたり》を見回していた。
宵に母親に警《いまし》め責められた房吉は、隠居がじりじりして業《ごう》を煮《にや》せば煮すほど、その事には冷淡であった。遊人などを近《ちかづ》けていた母親の過去を見せられて来た房吉の目には、彼女の苦しみが、滑稽《こっけい》にも莫迦々々《ばかばか》しくも見えた。
「誰のためでもない、みんなお前が可愛いからだ」
※[#「※」は「兀+王」、第3水準1
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