商品としての近代小説
平林初之輔
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)包装《ラツパー》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)形式[#「形式」に傍点]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)それ/″\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
一
文学作品の大衆性の問題は、ルナチヤルスキイ等がいふやうに、文学作品の形式[#「形式」に傍点]の問題に止まるであらうか? 更に進んでは、これは文学そのものに内在する問題であらうか? そして或る作品が大衆性を有するといふこと自体が、その作品の何か非常に望ましき芸術的[#「芸術的」に傍点]なメリツト若しくは価値であるだらうか?
私は最近まで、この疑問に対して「然り」と答へるのを常としてゐた。それどころか、秀れた文学作品は必らず大衆性をもつべきものであり、大衆性をもつといふことは、その作品がすぐれてゐるといふことの不可欠の条件であると考へてゐた。
尤も、最近に、私は、この考へに多少の制限を加へて、出版商業主義の力が、文学の大衆性
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