とその芸術的価値[#「芸術的価値」に傍点]に於いていづれが高く立つてゐるか?』とはつきり言つてゐる。
そこで芸術的価値とは何か[#「芸術的価値とは何か」に傍点]といふ問題が残される。
私の批判者たちは、芸術的価値を社会的価値に還元することによりてこの問題を簡単に片附けてしまつたが、さういふことなら、十頁の唯物史観の入門的パンフレツトを読んでもわかるし、テエヌの芸術論を二三十頁よんでもわかることなのであつて、あへて優秀なマルクス主義文芸批評家たちの頭脳を煩はすには及ばなかつたのだ!
とはいへ、実をいふと、私は芸術的価値とは何かといふ問ひに対して、十分説得的な答へをする準備をもつてゐない。この問題は非常に難しい問題であつて、まだこれに十分な解答を与へた人はないと言つてよい。だから私は、私自身が答へる代りに、プレハノフの言葉を断片的に拾ひ上げて、彼に答へさせることにする。
「ラスキンは見事に言つてゐる――少女は失はれたる愛について歌ふことはできる、しかし守銭奴は失はれたる金について歌ふことはできない、と。そして彼は正当にも、芸術的作品の価値はそれによつて表現さるゝ気分の高さによつて決定
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