度となくこつ/\突つかれた。家全体が今にも顛覆させられさうに思はれた。
私は冬からかけて二三ヶ月ゐたその家を早速移ることにした。其後も私は二三回その家の前を通つたが、何人も住んでゐる人がなかつた。
私は、その家の中に、竹の芽が思ふまゝに伸びて、戸障子や襖《ふすま》のゆがんでゐる有様を思ひ浮べて、こそ/\その家の前を通り過ぎた。
底本:「日本の名随筆43 雨」作品社
1986(昭和61)年5月25日第1刷発行
1991(平成3)年10月20日第10刷発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:加藤恭子
校正:浦田伴俊
2000年8月18日公開
2005年6月26日修正
青空文庫作成ファイル:
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