虚弱
三島霜川

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)友《とも》と

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)庭|柘榴《ざくろ》の花に

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#「のた」に傍点]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)紅々《あか/\》と
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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 友《とも》と二人《ふたり》でブラリと家《いへ》を出《で》た。固《もと》より何處《どこ》へ行《ゆ》かうといふ、的《あて》もないのだが、話《はなし》にも厭《あ》きが來《き》たので、所在なさに散歩《さんぽ》と出掛《でか》けたのであツた。
 入梅《つゆ》になッてからは毎日《まいにち》の雨降《あめふり》、其《それ》が辛《やつ》と昨日《きのふ》霽《あが》ツて、庭|柘榴《ざくろ》の花に今朝《けさ》は珍《めづ》らしく旭《あさひ》が紅々《あか/\》と映《さ》したと思《おも》ツたも束《つか》の間《ま》、午後《ごゝ》になると、また灰色《はいいろ》の雲《くも》が空《そら》一面《いちめん》に擴《ひろ》がり、空氣《くうき》
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