したのである。まことに批判的といふことは認識論の最も一般的な特徴である。そこで Erkenntnistheorie といふ語のほかに Erkenntniskritik(認識批判)といふ語もあり、或る人は後者をもつて前者に置き換へてゐる。その他ボルツァーノなどは知識學(Wissenschaftslehre)といふ語を用ゐ、それに從つてゐる者も見受けられる。
 認識論といふ言葉が比較的新しいものであるやうに、その表はす内容をなすところの學問もまた近代のものであると見られてゐる。それは普通には、イギリスのロックやヒュームに始まり、ドイツのカントによつて根柢をおかれた、と考へられる。この方面のロックの書物は『人間悟性論』(An essay concerning human understanding, 1690.)、ヒュームの主著は『人性論』(A treatise of human nature, 1739−1740.)、カントのそれは『純粹理性批判』(Kritik der reinen Vernunft, Erste Auflage 1781, Zweite Auflage 1787.)と呼
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