などしているのは、面白いことである。
読書会といえば、高等学校三年生の時、私が先に立って哲学の読書会を組織したことがある。ヴィンデルバントの『プレルーディエン(序曲)』の中の『哲学とは何か』を速水滉先生に願って読んでいただいたのである。会員は二十名くらいであったであろうか。その頃は世界戦争の影響でドイツ書を手に入れることができなかったので、謄写版刷りを作ってテキストにした。その時分私は大学に入ってから哲学をやることに決めていた。久しく迷っていた私にその決心をさせたのは西田幾多郎先生の『善の研究』であった。しかしそのことについては他の場所で書いておいたから、ここではもう繰り返さないことにする。宮島鋭夫に連れられて桑木厳翼先生を初めてお訪ねしたのもその頃であった。宮島は後に東大の哲学科に入った。永い間病気ばかりしていてまことに気の毒であったが、昨年とうとう死んでしまった。その通知をもらって後、桑木先生に会ったら宮島の話が出たので、あの時のことの記憶を新たにしたわけである。高等学校を卒業する前、彼からもらったレクラム版のショーペンハウエルの全集は、私にとって貴重な記念である。当時宮島はショ
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