ヘされた、個人の限定された個性、特性的なものを意味し、それによつて個人は、なほ甚だ大なる類似性にも拘らず、いづれの他の個人からも区別される。」とゲーテは説明した。それは「内からして」限りなく発展するものであり、しかもそれは「厳密な限定」である。
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〔Und keine Zeit und keine Macht zerstu:ckelt,〕
〔Gepra:gte Form, die lebeld sich entwickelt.〕
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といふ甚だしばしば引用される有名な句は、実に、このやうなデモンの解釈として、このデモンのスュタンツェの中に立つてゐるのである。それはエンテレヒー的モナドの内面的発展の内面的必然性を意味する。デモンはこのときもはやかのデモーニッシュなものの担つてゐた或る偶然性の性格を何等含まない。偶然的なものの意味をもつのはデモンではなく、寧ろ内的なデモンに対立する外的世界である。「この世界の組織は必然と偶然とから成つてゐる。」そこにはテュケーとアナンケーとがある。然るにかかる外的世界乃至外的運命と内的世界乃至内的運命との対立はゲ
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