ないし》は探険小説の発達は、当時の少年文学に大きな刺戟を与え、少年文学が提唱された。即ち
 尾崎紅葉は、「侠黒児」を書き、
 巌谷小波は、「黄金丸」を発表し、
 川上眉山は、「宝の山」を、
 土田翠山は、「小英雄」を、
 与謝野鉄幹は、「小刺客」を書き、
 黒岩涙香に依って、「巌窟王」「噫《ああ》無情」が翻訳されたのであった。
 時代物としては、
 外山|ゝ山《ちゅざん》の、「霊験王子の仇討」(ハムレット)、「西洋歌舞伎葉列武士」が現れ、
 村上浪六は「三日月次郎吉」「当世五人男」「岡崎俊平」「井筒女之助」と彼の傑作を続々と発表し、
 塚原渋柿園は「最上川」を、
 村井弦斎は、「桜の御所」を報知新聞に書き、その他、「衣笠城」「小弓御所」を著した。
 加之《しかのみならず》、新聞小説も漸く盛んになり、
 恋愛物としては、
 蘆花の「不如帰」が著され、
 紅葉山人の「金色夜叉」が明治三十年に出でて、世に喧伝され、
 弦斎の「日出島」が出て、
 幽芳は、三十三年大阪毎日新聞に、「己が罪」を書いて世の子女を泣かせ、
 小杉天外は、「魔風恋風」を三十六年読売新聞に連載し、大倉桃郎は、「琵琶歌」を
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