首相の、政友会の出鱈目な、すぐ尻尾を出すような馬鹿げさ加減とは問題にならないほど凄いものであることを読者諸君は知るだろう。
 以上のように、外国の「実話」と我国の「実話」とは、従って、亦天地雲泥の差があるのである。日本の「実話」は、だから外国の「実話」ほどの興味を読者にあたえることが出来ない。それ故、「実話」の流行は、殊に我国では一時的なもので、決して永続性を持たないものといわねばなるまい。
「怪奇小説」については、前章「科学小説」の中へ含めてその第一の種類として説明したから、この章でははぶいたことを断って置く。

 第八章 少年小説と家庭小説

 総論のところで述べておいたごとく、「少年小説」は、大人《おとな》物の分類の一切を包含しているのであって、夫《そ》れに英雄と、空想と、驚異との織込まれたものである。だから、それは探偵小説でもあるだろうし、冒険小説であるときもあるだろうし、又英雄的でもあるだろう。ただ作者はあくまでも、少年少女の読物であることを考えねばならない。大人の読んでいい「少年、少女小説」というようなものを考えてはならないのである。何故なら、少年、少女の読物であってこそそ
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