「ごんべん」に「虚」、第4水準2−88−74、371−11]吐きが念を入れて流行《はや》って居たから「瀬川の仇討」など、当時の手紙一本位を証拠に信じる事は出来ない。
 従って、瀬川が仇討をしてから、再法庵へ移ったのも嘘であるし、和歌も勿論、後世の人の悪戯《いたずら》となってしまう。然し、悪戯にしても、中々味のある歌で、男を水、己れを月として、夜ごと夜ごとに枕を代えているが、悟ると月も水も汚れない――というよりも、私のつくり更《か》え、男は汚れても女は汚れぬと、男はこう悟るが、中々女の諦めきれぬのをよく諦悟《ていご》させた歌である。

     二

 そこで、※[#「※」は「ごんべん」に「虚」、第4水準2−88−74、372−2]としておいても、この話は有名なもので、秋篠《あきしの》の助太刀と共に遊女武勇伝として双璧とすべきものである。※[#「※」は「ごんべん」に「虚」、第4水準2−88−74、372−3]を※[#「※」は「ごんべん」に「虚」、第4水準2−88−74、372−3]としておいて書いて行っても興味――極めてお芝居的な興味の多い物語である。尤《もっと》も※[#「※」は「ごんべ
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