《かど》から、例の溝《みぞ》に沿った道を寺へと進んだ。
溝《どぶ》のさびた水が動いて行く提灯の光にかすかに見えた。おおいかぶさった木の葉裏《はうら》が明るく照らされたり消えたりした。路傍の草にも、畠にも、藪にも虫の音はたえず聞こえる。一行は歩むにつれてバタバタと足音を立てる。誰も口をきくものはなかった。
寺の本堂は明《あ》け放《はな》されて、如来様《にょらいさま》の前に供えられた裸蝋燭《はだかろうそく》の夜風にチラチラするのが遠くから見えた。やがて棺はかつき上げられて、読経《どきょう》が始まった。
丈の低い小僧はそれでも僧衣《ころも》を着て、払子《ほっす》を持った。一行の携《たずさ》えて来た提灯は灯《ひ》をつけられたまま、人々の並んだ後ろの障子の桟《さん》に引っかけられてある。広い本堂は蝋燭の立てられてあるにかかわらずなんとなく薄暗かった。父親の禿頭《はげあたま》と荻生さんの白地の単衣《ひとえもの》がかすかにその中にすかされて見える。読経の声には重々しいところがなかった。いやにさえ走ったような調子であった。鉦《かね》がけたたましい音を立てて鳴る。
「ここでこうして林君のおとむらい
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