か?」
「え、もう帰って来ます。先生も海城で病気にかかって、病院に一月もいたそうで……来月の初めには帰って来るはずです」
「それじゃ遼陽は見ずに……」
「え」
衰弱した割合いには長く話した。寺にいる時分の話なども出た。
その翌日は弥勒《みろく》の校長さんが見舞いにやって来た。
「こんなになってしまいました」
と細い手を出して見せた。
「学校のほうはいいようにしておきますから、心配せずにおいでなさい、欠席届けさえ出しておくと、二月は俸給がおりるんですから」
校長さんはこう言った。
戦争の話が出ると、
「おそくも、休暇中には旅順が取れると思ったですけれどなア。よほどむずかしいとみえますな。このごろじゃ容易に取れないなんて、悲観説が多いじゃないですか。常陸丸《ひたちまる》にいろいろ必要な材料が積んであったそうですな」
こんなことを言った。
二三日して、今度は関さんが来た。女郎花《おみなえし》と薄《すすき》とを持って来てくれた。弥勒《みろく》の野からとったのであると言った。母親は金盥《かなだらい》に水を入れて、とりあえずそれを病人の枕《まくら》もとに置いた。清三はうれしそうな顔を
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