十三条に六十日の病気欠席は全俸《ぜんぽう》(願書《がんしょ》診断書付《しんだんしょつ》き)その以後二か月半俸としてあることを報じて来た。

       五十九

 行田の町の中ほどに西洋造《せいようづく》りのペンキ塗《ぬ》りのきわだって目につく家《うち》があった。陶器の標札には医学士原田龍太郎とあざやかに見えて、門にかけた原田医院という看板はもう古くなっていた。
 午前十時ごろの晴れた日影は硝子《がらす》をとおした診察室の白いカアテンを明るく照らした。
 診察が終わって、そこから父親と荻生さんとにたすけられて出て来たのは、二三日来ますます衰弱した清三であった。荻生さんが万一を期して、ヤイヤイ言ってつれて来た親切は徒労に帰した。医師《いしゃ》は父親と友とに絶望的宣告を与えたようなものであった。
 荻生さんが懇意《こんい》なので、別室できくと、
「いま少し早くどうかすることができそうなものだった」
 医師はこう言った。
「やっぱり、肺でしょうか」
「肺ですな……もう両方とも悪くなっている!」
 荻生さんはどうすることもできなかった。眼眩《めまい》がしてそこに立っていられぬ病人をほとんどか
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