《みろく》ももうずいぶん古参《こさん》だから、居心地は悪くはないけれど、いかにしても遠いからね、君」
こう言って転任運動を頼んだ。
夕餐《ゆうめし》には昨夜猫に取られた泥鰌《どじょう》の残りを清三が自分でさいてご馳走した。母親が寝ているので、父親が水を汲んだり米をたいたり漬《つ》け物を出したりした。
郁治は見かねてよほど帰ろうとしたが、あっちこっちを歩いて疲れているので、一夜泊めてもらって行くことにした。
「郁《いく》さんがせっかくおいでくだすったのに、あいにく私がこんなふうで、何もご馳走もできなくって、ほんとうに申しわけがない」
しげしげと母親は郁治の顔を見て、
「郁さんのように、家《うち》のも丈夫だといいのだけれど……どうも弱くってしかたがないんですよ。……それに郁さんなぞは。学校を卒業さえすれば、どんなにもりっぱになれるんだから、母さんももう安心なものだけれど……」
しみじみとした調子で言った。
美穂子の話が出たのは、二人が蚊帳《かや》の中にはいって寝てからであった。学校を出るまではお互いに結婚はしないが、親と親との口約束はもうすんだということを郁治は話した。
「それ
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