《ざこ》をすくっている。繭売《まゆう》りの車がぞろぞろ通った。
新しい家では、今朝早く来た父親と、局を休んで手伝いに来てくれた荻生さんとが、バタバタ畳をたたいたり、雑巾《ぞうきん》がけをしたり、破れた障子《しょうじ》をつくろったりしていた。大家《おおや》さんは火鉢と茶道具とを運んで来て、にこにこ笑いながら、「何かいるものがありましたなら遠慮なくおっしゃい」と言って、禿《はげ》頭に頬冠《ほおかむり》をして尻をまくった父親の姿を立って見ていた。それも十二時ごろにはたいてい片づいて、蕎麦屋《そばや》からは蕎麦を持って来る。荻生さんは買って来た大福餅を竹の皮包みから出してほおばる。そこの小路《こうじ》にガタガタと車のはいる音がして、清三と母親の顔が見えた。
車力は縄《なわ》をといて、荷物を庭口から縁側へと運び入れる。父親と荻生さんが先に立って箪笥や行李や戸棚や夜具を室内に運ぶ。長火鉢、箪笥の置き場所を、あれのこれのと考える。母親は襷《たすき》がけになって、勝手道具を片づけていたが、そこに清三が外から来て、呼吸《いき》をきらして水を飲んだ。
母親は手をとどめて、じっと見て、
「どうしたの?
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