ぎは日ごとの新聞紙上に見えるように思われた。一月《ひとつき》以前から政治界の雲行きのすみやかなのは、田舎《いなか》で見ていても気がもめた。召集令はすでにくだった。村役場の兵事係りが夜に日をついで、その命令を各戸に伝達すると、二十四時間にその管下に集まらなければならない壮丁《そうてい》たちは、父母妻子に別れを告げる暇もなく、あるは夕暮れの田舎道に、あるは停車場までの乗合馬車に、あるは楢林《ならばやし》の間の野の路に、一包みの荷物をかかえて急いで国事《こくじ》におもむく姿がぞくぞくとして見られた。南埼玉《みなみさいたま》の一郡から徴集されたものが三百余名、そのころはまだ東武線ができぬころなので、信越線の吹上駅《ふきあげえき》、鴻巣駅《こうのすえき》、桶川駅《おけがわえき》、奥羽線の栗橋駅、蓮田駅《はすだえき》、久喜駅《くきえき》などがその集まるおもなる停車場であった。
交通の衝《しょう》に当たった町々では、いち早く国旗を立ててこの兵士たちを見送った。停車場の柵内《さくない》には町長だの兵事係りだの学校生徒だの親類友だちだのが集まって、汽車の出るたびごとに万歳を歓呼《かんこ》してその行をさ
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