成功にあらずや、母はわれとともに住まんことを予想しつつあり」
またある時は次のようなことを書いた。
「親しかりし昔の友、われより捨て去りしは愚かなりき。情《じょう》薄《うす》かりき。われをしてふたたびその暖かき昔の友情を復活せしめよ。しょせん、境遇は境遇なり、運命は運命なり、かれらをうらやみて捨て去りしわれの小なりしことよ。喜ぶべきかな友情の復活! 一昨日小畑より打《う》ち解《と》けたる手紙あり。今日また加藤より情に満たされたる便りあり。小畑は自分の読み古したる植物の書籍近きに送らんといふ。うれし」
校長も同僚も清三の態度のにわかに変わったのを見た。清三は一昨年あたり熱心に集めた動植物の標本の整理に取りかかった。野から採《と》って来て紙に張ったままそのままにしてあったのを一つ一つ誰にもわかるように分類してみた。今年の夏休暇《なつやすみ》に三日ほど秩父《ちちぶ》の三峰《みつみね》に関さんと遊びに行った時採集して来たものの中にはめずらしいものがあった。関さんは文部《もんぶ》の中学教員検定試験を受ける準備として、しきりに動植物を研究していた。その旅でも実際について関さんはしきりに清三にそ
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