ブザブと水で洗って、それをざるに手で盛った。「お待ち遠さま」と婢《おんな》はそれを膳に載せて運んで来た。足の裏が黒かった。
 清三はざるを二杯、天ぷらを一杯食って、ビールを一本飲んだ。酔いが回って来ると、少し元気がついた。
「帰ろう。小畑や加藤を訪問したッてしかたがない」
 懐《ふところ》から財布を出して勘定《かんじょう》をした。やがて雑踏の中を停車場に急いで行くかれの姿が見られた。

       三十八

 荻生さんが和尚《おしょう》さんを訪ねて次のような話をした。
「どうも困りますんですがな」
 と荻生さんが例の人のいい調子で、さも心配だという顔をすると、
「それは困りますな」
 と和尚さんも言った。
「どうも思うようにいかんもんですから、ついそういうことになるんでしょうけれど……」
「校長からお聞きですか」
「いいえ、校長からじかに聞いたというわけでもないんですけれど……借金もできたようですし、それに清三君が宿直室にいると、女がぞろぞろやって来るんだッて言いますからねえ」
「いったい、あそこは風儀が悪いところですからなア」
「ずいぶんおもしろいんですッて……清三君一人でいると、
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