学校の裏の垣根のところから、声をかけたり、わざと土塊《つちくれ》をほうり込んだりするんですッて。そうして誰もいないと、庭から回ってはいって来るんだそうです」
「そして、その中に誰か相手ができてるんですか」
「よくわかりませんけれど、できてるんだそうです」
「どうせ、機織《はたおり》かなんかなんでしょう?」
「え」
「困るですな。そういう女に関係をつけては」
と和尚さんも嘆じた。
しばらくしてから、
「早くかみさんを持たせたら、どうでしょう」
「この間も行田に行きましたから、ついでに寄ったんですが、お袋さんもそう言っていました」
「加藤君のシスターはもらえないのですか」
「先生がいやだッて言うんです……」
「だッて、前にラブしていたんじゃないですか」
「どうですか、清三君、よく話さんですけれど、加藤君と何か仲たがいかなんかしたらしいですな」
「そんなことはないでしょう」
「いや、あるらしいです」
と荻生さんはちょっととぎれて、「この間も言ってましたよ、僕はこういう運命ならしかたがない。一生独身で子供を相手にして暮らしても遺憾《いかん》がないッて言ってましたよ」
「独身もいいが――そ
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