れでも久しく立ちどまって見ていた。養魚室の暗い隧道《とんねる》の中では、水の中にあきらかな光線がさしとおって、金魚や鯛《たい》などが泳いでいるのがあざやかに見えた。水珠《みずたま》がそこからもここからもあがった。
鴎《かもめ》や鴛鴦《おし》やそのほかさまざまの水鳥のいる前のロハ台にかれはまた腰をおろした。あたりをさまざまな人がいろいろなことを言ってぞろぞろ通る。子供は鳥のにぎやかに飛んだり鳴いたりするのをおもしろがって、柵につかまって見とれている。しばらくしてかれはまた歩き出した。鷹《たか》だの狐《きつね》だの狸《たぬき》だのいるところを通って、猿が歯をむいたり赤い尻を振り立てているところを抜けて、北極熊や北海道の大きな熊のいるところを通った。孔雀《くじゃく》のみごとな羽もさして興味をひかなかった。かれははいった時と同じようにして出て行った。
東照宮《とうしょうぐう》の前では、女学生がはでな蝙蝠傘《こうもりがさ》をさして歩いていた。パノラマには、古ぼけた日清戦争の画かなんかがかかっていて、札番が退屈そうに欠《あくび》をしていた。
竹の台に来て、かれはまた三たびロハ台に腰をかけた。
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