黙って酒を飲んだ。黙ってその妹女郎と寝た。妹女郎は行った人の話をいろいろとして聞かした。清三は黙って聞いた。
翌日は早く帰途についた。存外心は平静であった。「どうせこうなる運命だッたんだ」とみずから口に出して言ってみた。「なんでもない、あたり前のことだ」と言ってみた。けれど平静であるだけそれだけかれは深い打撃を受けていた。
土手に上がる時、
「憎い奴だ、復讐をしてやらなけりゃならん、復讐! 複讐!」
と叫んだ。しかし心はそんなに激してはおらなかった。
麦倉《むぎくら》の茶店では、茶をのみながら、
「もうここに休むこともこれぎりだ」
大高島の渡しを渡って、いつものように間道《かんどう》を行こうとしたが、これも思い返して、
「なアに、もうわかったッてかまうもんか」
で、大越に出て、わざと老訓導の家を訪《と》うた。
老訓導は清三のつねに似ずきわだってはしゃいでいるのを不思議に思った。清三は出してくれたビールをグングンとあおって飲んだ。
「何か一つ大きなことでもしたいもんですなア――なんでもいいから、世の中をびっくりさせるようなことを」
こんなことを言った。そしてこれと同じこと
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