ぞ》が上って来て、
「おいらんもな、おめでたいことで――この十五日に身ぬけができましたでな」
 清三は金槌《かなづち》か何かでガンと頭を打たれたような気がした。
「貴郎《あなた》さんにもな、ぜひゆく前に一度お目にかかりたいッて言っていましたけれど――貴郎《あなた》はちょうどお見えにならんし、急なものだで、手紙を上げてる暇もなし、おいらんも残念がっていましたけれど、しかたがなしに、貴郎《あなた》が来たらよく言ってくれッてな――それにこれを渡してくれッておいて行きましたから」と風呂敷包みを渡した。中には一通の手紙と半紙に包んだ四角なものがはいっていた。手紙には金釘《かなくぎ》のような字で、おぼつかなく別れの紋切《もんき》り形《がた》の言葉が書いてあった。残念々々残念々々という字がいくつとなく眼にはいった。しかし身請《みう》けされて行ったところは書いてなかった。
 半紙に包んだのは写真であった。
 おばさんは手に取って、
「おいらんも罪なことをする人だよ」
 と笑った。
 身請けされて行った先は話さなかった。相方《あいかた》はかねて知っている静枝の妹女郎が来た。顔の丸い肥った女だッた。清三は
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