がギーと楫《かじ》の音をさせて、いくつも通った。一時間ほどたって婆さんが裏に塵埃《ごみ》を捨てに行った時には、縁台の上の客は足をだらりと地に下げて、顔を仰向《あおむ》けに口を少しあいて、心地よさそうに寝ていたが、魚釣りに行った村の若者が※[#「竹かんむり/令」、第3水準1−89−59]※[#「竹かんむり/省」、第4水準2−83−57]《びく》を下げて帰る時には、足を二本とも縁台の上に曲げて、肱《ひじ》を枕にして高い鼾《いびき》をかいていた。その横顔を夕日が暑そうに照らした。額には汗がにじみ、はだけた胸からは財布が見えた。
 かれが眼をさましたころは、もう五時を過ぎていた。水の色もやや夕暮れ近い影を帯びていた。清三は銀側の時計を出して見て、思いのほか長く寝込んだのにびっくりしたが、落ちかけていた財布をふと開けてみて銭の勘定をした。六円あった金が二円五十銭になっている。かれはちょっと考えるようなふうをしたが、その中から二十銭銀貨を一つ出して、ラムネ二本の代七銭と、梨子《なし》二個の代三銭との釣《つ》り銭《せん》を婆さんからもらって、白銅を一つ茶代に置いた。
 大高島の渡しを渡るころには、も
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