の暑い忙しい中《なか》で、暑中休暇もなしに、不平も言わずに、生活している。友だちのズンズン出て行くのをうらやもうともしない。清三の心持ちでは、荻生さんのようなあきらめのよい運命に従順な人は及びがたいとは思うが、しかしなんとなくあきたらないような気がする。楽しみもなく道楽もなくよくああして生きていられると思う。その日、「どうです、あまりつまらない。一つ料理屋へでも行って、女でも相手にして酒でも飲もうじゃありませんか」と言うと、「酒を飲んだッてつまらない」と言って賛成しなかった。清三は暑い木陰のないほこり道を不満足な心持ちを抱いて学校に帰って来た。

       三十

 盆踊りがにぎやかであった。空は晴れて水のような月夜が幾夜か続いた。樽拍子《たるびょうし》が唄につれて手にとるように聞こえる。そのにぎやかな気勢《けはい》をさびしい宿直室で一人じっとして聞いてはいられなかった。清三は誘われてすぐ出かけた。
 盆踊りのあるところは村のまん中の広場であった。人が遠近からぞろぞろと集まって来る。樽拍子の音がそろうと、白い手拭いをかむった男と女とが手をつないで輪をつくって調子よく踊り始める。上手
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