るような大きなのも二つ三つはあった。薄くこげるくらいに焼いて、それを藁《わら》にさした。
「ずいぶんあるもんだね」と数えてみて、「十九|串《くし》ある」
「やすかっただ、校長さん負けさせる名人だ。これくらいの鮒で六っていう値があるもんかな」
小使はそばから言った。
試みに煮てみようと言うので、五串ばかり小鍋に入れて、焜爐《こんろ》にかけた。寝る時|味《あじ》わってみたが骨はまだ固《かた》かった。
自炊生活は清三にとって、けっきょく気楽でもあり経済でもあった。多くは豆腐と油揚げと乾鮭《からざけ》とで日を送った。鮒の甘露煮は二度目に煮た時から成功した。砂糖をあまり使い過ぎたので、分けてやった小使は「林さんの甘露煮は菓子を食うようだア」と言った。生徒は時々萩の餅やアンビ餅などを持って来てくれる。もろこしと糯米《もちごめ》の粉《こ》で製したという餡餅《あんころ》などをも持って来てくれる。どうかして勉強したい。田舎《いなか》にいて勉強するのも東京に出て勉強するのも心持ち一つで同じことだ。学費を親から出してもらう友だちにも負けぬように学問したいと思って、心理学や倫理学などをせっせと読んだが、
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