なんてそんな値はねえだ。じゃいま半分引くべい」
清三は校長さんの物を買うのに上手なのを笑って見ていた。六がけで話が決《き》まって、小使がそこに桶《おけ》と摺《す》り鉢《ばち》とを運んで来た。ピンとするほどはかりをまけた鮒はヒクヒクと鰓《あぎと》を動かしている。爺《おやじ》はやがて[#「やがて」は底本では「やがで」]銭《ぜに》を受け取って軽くなった※[#「竹かんむり/令」、第3水準1−89−59]※[#「竹かんむり/省」、第4水準2−83−57]《びく》をかついで帰って行く。
「やすい、やすい。これを煮ておきゃ、君、十日もありますよ」
こう言って校長さんは、鮒の中でも大きいのを一尾つかんで、「どうも、上州の鮒はいい、コケがまるでこっちで取れたのとは違うんですからな」と言って清三に示した。半分に分けて、小桶に入れて、小使が校長さんの家に持って行った。
その日は鮒《ふな》の料理に暮れた。俎板《まないた》の上でコケを取って、金串《かなぐし》にそれをさして、囲爐裏《いろり》に火を起こして焼いた。小使はそのそばでせっせと草鞋《わらじ》を造っている。一|疋《ぴき》で金串がまったく占《し》められ
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