た網をかついで、川やら掘切《ほっきり》やらに出かけて行った。途中で学校の先生や村役場の人などにでっくわすと、いつもていねいに辞儀《じぎ》をした。それが今日掘切の中でこごえて死んでいたという。清三は湯につかりながら、村の人々のさまざまに噂《うわさ》し合うのを聞いていた。こうして生まれて生きて死んで行く人をこうして噂し合っている村の人々のことを考えずにはいられなかった。古網《ふるあみ》を張ったまま、泥の中にこごえた体を立てて死んでいた爺《おやじ》のさまをも想像した。茫《ぼう》とした湯気の中に水槽《みずおけ》に落ちる水の音が聞こえた。

       二十八

 授業もすみ、同僚もおおかた帰って、校長と二人で宿直室で話していると、そこに、雑魚《ざっこ》売りがやって来た。
「旦那、鮒《ふな》をやすく買わんけい」
 障子《しょうじ》をあけると、にこにこした爺が、※[#「竹かんむり/令」、第3水準1−89−59]※[#「竹かんむり/省」、第4水準2−83−57]《びく》をそこに置いて立っていた。
「鮒はいらんなア」
「やすく負けておくで、買ってくんなせい」
 校長さんは清三を顧《かえり》みて、「君
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