えこんだッてなア」
「ほんにさア、今朝行く時、己《おら》アでっくわしただアよ、網イ持って行くから、この寒いのに日振《ひぶ》りに行くけえ、ご苦労なこっちゃなアッて挨拶しただアよ。わからねえもんただよなア」
「どうしてまアそんなことになったんだんべい?」
「ほんにさ、あすこは掘切《ほっきり》で、なんでもねえところだがなア」
「いったいどこだな」
「そら、あの西の勘三さんの田ン中の掘切で死《ご》ねていたんだッてよ。泥深い中に体《からだ》が半分《はんぶん》突っささったまま、首イこうたれてつめたくなったんだッてよ」
「あっけねえこんだなア」
「今日ははア、御賽日《おさいにち》だッてに。これもはア、そういう縁を持って生まれて来たんだんべい」
「わしらもはア、この春《はる》ア、日振《ひぶ》りなんぞはよすべいよ」
 湯気《ゆげ》の籠《こも》った狭《せま》い銭湯の中で、村の人々はこうした噂《うわさ》をした。喜平というのは、村はずれの小屋に住んでいる、五十ばかりの爺《おやじ》で、雑魚《ざこ》や鰌《どじょう》を捕えては、それを売って、その日その日の口をぬらしていた。毎日のように汚ないふうをして、古いつくろっ
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