ず。
何《なん》んぞや一|婦《ぷ》の痴《ち》に酔《え》ひて、
俗の香《か》巷《ちまた》に狂ふ。
あゝ止《や》みなんか、また前日の意気なきや。
終《つい》に止みなんか、卿等《けいら》の痴態《ちたい》!
[#ここで字下げ終わり]
さて最後に咄《とつ》! という字を、一字書いて、封筒に入れてみたが、これでは友に警告するのになんだかはなはだふまじめになるような気がする。いろいろ考えたすえ、「こんなことはつまらぬ、言ってやったってしかたがない」と思って破って捨てた。
初冬の暖かい日はしだいに少なくなって、野には寒い寒い西風が吹き立った。日向《ひなた》の学校の硝子《がらす》にこの間まで蠅《はい》がぶんぶん飛んでいたが、それももう見えなくなった。田の刈ったあとの氷が午後まで残っていることもある。黄いろく紅《あか》く色づいた楢《なら》や榛《はん》や栗の林も連日の西風にその葉ががらがらと散って、里の子供が野の中で、それを集めて焚火《たきび》などをしているのをよく見かける。大越街道を羽生の町へはいろうとするあたりからは、日光の山々を盟主にした野州《やしゅう》の連山がことにはっきりと手にとるように見える
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