たが、友の調子もいちじるしくさばけて、春あたりはあえて言わなかった戯談《じょうだん》などをも人の前で平気で言うようになった。郁治の調子もなんとなくくだけて見えた。清三ははしゃぐ友だちの群れの中で、さびしい心で黙って舞台を見守った。
二幕目が終わると、
「僕は帰るよ」
こう言ってかれは立ち上った。
「帰る?」
みんなは驚いて清三の顔を見た。戯談《じょうだん》かと思ったが、その顔には笑いの影は認められなかった。
「どうかしたのか」
郁治はこうたずねた。
「うむ、少し気分が悪いから」
友だちはそこそこに帰って行く清三の後ろ姿を怪訝《けげん》そうに見送った。後ろで石川の笑う声がした。清三は不愉快な気がした。戸外《おもて》に出るとほっとした。
それでも郁治とは往来したが、もう以前のようではなかった。
一夜《あるよ》、清三は石川に手紙を書いた。初めはまじめに書いてみたが、あまり余裕《よゆう》がないのを自分で感じて、わざと律語《りつご》に書き直してみた。
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意気を血を、叫ぶ声先づ消えて、
さてはまた、野に霜|結《むす》んで枯るるごと、
卿等《けいら》の声はまた立た
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