には路にそって里川が流れ、川楊《かわやなぎ》がこんもり茂っている。森には蝉《せみ》の鳴き声が喧《かまびす》しく聞こえた。
一時間たつと、三人はみんな倒れてしまった。校長は肱枕《ひじまくら》をして足を縮めて鼾《いびき》をかいているし、大島さんは仰向《あおむ》けに胸を露《あら》わに足をのばしているし、清三は赤い顔をして頭を畳につけていた。独《ひと》り関さんは退屈そうに、次の広間に行ってビラなどを見た。
三時過ぎに、清三が寺に帰って来ると、荻生君は風通《かぜとお》しのよい本堂の板敷きに心地よさそうに昼寝をしている。
午後の日影に剖葦《よしきり》がしきりに鳴いた。
十六
暑いある日の午後、白絣《しろがすり》に袴《はかま》という清三の学校帰りの姿が羽生の庇《ひさし》の長い町に見えた。今日月給が全部おりて、懐《ふところ》の財布が重かった。いま少し前、郵便局に寄って、荻生君に借りた五十銭を返し、途中で買って来たくず餅を出して、二人で茶を飲み飲み楽しそうに食った。「どうも、これも長々ありがとう」と言って、二月ほど前から借りていた鳥打《とりう》ち帽を取って返した。
「まだいいよ
前へ
次へ
全349ページ中128ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
田山 花袋 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング