ちへとやつた。道綱は拳の中から巧みにそれをその紙に入れて、その末をひねるやうにした。
『もうこれで大丈夫ね』
道綱はそれを手にしたまゝうれしさうに先に立つた。かれは猶ほ草むらを搜すことをやめなかつた。
やがてその尼寺の前のところへ來た。
そこにゐた小さな女の童は不思議さうにして林の中を此方へとやつて來る三人づれの客を見てゐたが、そのまゝ奧に入つて行つたと思ふと、今度はそのたしか歌のよめるといふ人らしい二十二三の若い尼が出て來た。
それと知ると、その若い尼の顏が急に赤くなつた。まさかに、今の世にきこえてゐる東三條殿の窕子といふ名高い女の歌人がわざわざこの山の中までやつて來ようとは夢にも思ひがけないことであつたからであつた。かの女はすぐ奧へと入つて行つた。
あたふたと老尼も出て來て、下にも置かぬやうにしてそれを迎へた。
『まア、好うこそ、このやうなところにお出くだされました……。坊のおんあるじからお話は承つて居りましたけれど、わざわざ御出下されやうとはゆめ更存じませぬで……』
『まア……ようこそ』若い方の尼もいかにも喜ばしさうな感激したやうな聲を立てた。
窕子だちの眼には、全く
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