君がついてゐますね。何んなにでも好くして呉れますねえ!』
 傍からかをるが道綱に向つて言ふやうにして言つた。
『伯母者、さつきのくちなはびつくりした?』
『びつくりしたにも何にも……伯母者ふるえ上つた……』
『今度、出たら、麿が生かしては置かない……』
『麿はきついな』
 こんなことを言ひながら三人は山の岨のやうなところを通つて行つた。
 向うから重さうに粗朶を負うて女がひとり下りて來た。
 かをるはそれにきいた。
『尼寺は?』
『尼寺かな……。もうぢきだ……。この林を越すと、もう見えるだ。若い方の尼さん、つい、そこに出てゐたつけ……』
『まだ十町ぐらゐあるかね?』
『そないあるもんか……』
 こんなことを言つてすれ違つて行つたが、少し行つて窕子が振返つた時には、その女がその背負つた粗朶をそこに下して、じつと立ちつくしてこつちを見送つてゐのを目にした。
『あゝいふ人にも樂しみといふものはあるんでせうね?』
 これはかをるだ。
『それは同じことよ。家にはちやんと立派な男子がひとりゐて、あゝして里に出て粗朶を賣つて來るのを待つてゐるのよ。あなたと同じやうに男子に可愛がられてゐるのよ』
『ま
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