ふやうに、『母者……母者にもそれがわからないことはなかつたと思ふ。あの大きな體、男らしい物の言ひ振、あれほどまでにして貰ふ仕合せな! その病人の傍を片時も去らずに看護する男子……。さういふ男子もあるんだから……。それを考へると、この身は悲しい。この身は悲しい。この身は涙が出て涙が出て……』
『ようわかつた……。しかし、さう一概に男のことをきめて言ふのはわりい。それはあの大納言どののやつてゐられることは尊い。それはわるいと言はぬ。この身も涙を催うした……。しかし、他の男の子がさうしないからと言つて、それをわるう言ふのは、あまりに物事をきめすぎてゐていけない……。この世の中といふものはさういふものではない。』
『それはさうでせうけれども……あゝされる女子は仕合せだ……。』
 それに比べたら、この身などは何うだと窕子は言ふのだつた。一度だつて見舞にも來て呉れたことはない、行くなら行くで放つて置く、そして自分は勝手に振舞つてゐる……。それはまア好いとしても、さういふ男の子にさういふことを望むは望む方がまちがつてゐるのかも知れぬから、それは好いにしても、それでは此身が可哀相ではないか。何一つつか
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