て居るのです……。何うせ、宮のあとについて行くことすら出來ない身――』かう言ひかけて登子は急にたまらなく悲しくなつて來たといふやうに、いつもなら引被くのが慣ひであるのに、顏を上に向けて、ひとり手に涙が兩方の眼から行をなして落ちて來るのに任せた。
『何うせ……何うせ……この身は生きた屍も同じ身……窕子さん、つか穴の中に入つて行くのも、この身にふさはしい……』言葉が涙にさゝえられて滿足には出て來なかつた。
その悲しさが窕子にもつくづく思ひ當つた。自分の時にはその身だけがさうした悲しい運命に落ちたと思つたのであつたが、今では、それがすべての女子の悲しみであるといふことがわかつた。
二五
使のものが文箱を持つて來た。それを明けて見た窕子は、すぐ筆を取つて、返事を書いてそれをその文箱の中に入れた。
『これをわたして下さい』
持つて行つて戻つて來た呉葉に、
『お前も一緒に行つてお呉れ……。いよいよおわかれになるのかも知れないから……』
『そんな御樣子でございますか』
『いゝえ、別に手紙には、さう詳しいことも書いてなかつたけれども、もう一度ちよつとなりと、お目にかゝりたい
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