身では何うにもならないことなのだから……。やはりこの身とてはかない醉生夢死……』
『……………』
『やはり、運命に從うといふことより他に、女子の行く道があらうとは思はれぬ……』
その言葉のかげには、大内裏からの強い壓迫がそれとなくきかれるのだつた。窕子は何う慰めて好いかわからなかつた。
『それは世間では羨しいと思うたとて、それが何? え、窕子さん、あなたはさうは思はない。内裏に入つて、あの藤壺の一室に大勢に侍かれるといふことは、それはこの身の得がたい出世として、また一方では小一條どのや向う側にゐる人たちに對する兄達の立場として喜ばれることかも知れないけども、この身としては何が喜び? え、窕子さん。私にとつてはこの身を葬るつか穴ではありませんか。一度入つたら、もう再び出て來ることの出來ない墓場と同じではありませんか……』
『…………』
何も言ひ得ない窕子の眼からはひとり手に涙が流れて來た。
『でも、ね……。窕子さん、泣かずにきいて下さい。あなたの他には、誰ひとりかうした私の心をきいて呉れるものなどはないのだから……。窕子さん、この身はもう心はきめてをるのです……。さうなる身とあきらめ
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